「KUMONママサポータープロジェクト」第9期2回目となる座談会。今回は、公文教育研究会で国語教材の制作に携わる、浦上久美子さんをゲストスピーカーに迎えて行われました。子どもたちの「高度な読書能力の養成」を目指すKUMONの国語教材をテーマにしたトークショーでは、ママサポーターのみなさんも、興味津々の様子でした。
KUMONの国語教材チームのお仕事
KUMON国語教材チームの浦上久美子と申します。今日はよろしくお願いいたします。
まずは、簡単な自己紹介をさせていただきます。公文教育研究会に入社後、公文式教室の先生方をサポートする仕事をした後、約10年間、数学教材の制作に携わりました。その後、2度の産休を経て、2013年より国語教材チームに勤務しています。
プライベートでは、夫、小学校5年生の娘と、小学校2年生の息子の4人家族です。
国語教材チームは、日本の国語教材の制作・改訂をすることが主なミッションになりますが、(海外の)母国語教材の開発・研究、制作をする人材の育成も行っています。
現在、公文式教室は日本を含め50を超える国と地域に広がっており、英語、韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、そして日本語という7つの母国語教材を展開しています。
では、ここからは、「KUMONの国語教材」や「公文式と読書の関係性」についてお話しさせていただければと思います。
「高度な読書能力」を身につけるためのKUMONの国語教材
KUMONの国語教材についてお話しするにあたって、公文式の創始者である公文 公(くもん とおる)の言葉をご紹介したいと思います。
公文式国語の本来の目的は、子どもが多くの本を読むことを通じて社会や、人間のことを知り、自分がこの社会で何をなすべきかを自分で考え行動できる子どもたちにすることにあり、国語教材はそれらの本を読む際にできるだけ早く、できるだけ正確に内容を理解するための読解力をつけるためにあるのです。学校の成績を上げたり、入試に合格するための国語力にとどまらず、社会に出ても本を読んで学び続けることができる国語力を子どもたちにつけるのが目的なのです。
「社会や、人間を知り、自分がこの社会で何をなすべきかを自分で考え行動できる子どもたちにする」。KUMONの国語教材は、本を読める子どもにし、読書を通じて物事を自分で考えられるようになってほしい、と思って作っています。
そして、ただ本が読めたらいいわけではなく、
「本を読む際にできるだけ早く、できるだけ正確に内容を理解できる読解力」をつけてあげたい
と考えています。
さらに「学校の成績をあげたり、入試に合格するための国語力にとどまらず」とあります。
続いて、「社会に出ても本を読んで学び続けることができる国語力を子どもたちにつける」ことが、目的だとあります。
公文公の言葉にあるような本を読む力について、KUMONでは「高度な読書能力」と呼んでいます。
「高度な読書能力」とは、
自ら本を選ぶことができ、
十分なスピードをもって、
難易度やジャンルを問わず数多くの本が読め、
手にした本の内容について深く考え、
自分に必要なことを学び取ることを可能にする読書能力のことです。
KUMONの国語教材は、この「高度な読書能力」を身につけるための教材になっています。
では、実際に公文式国語教材がどういう構成になっているのかを見ていただきましょう。
公文式国語教材見本をご覧ください。
教材は、8A~R教材まであり、1つのレベルが200枚、400ページで構成されていて、8A~Rまでで、6,800枚、13,600頁あります。
この公文式国語教材を大きく5つのステージにわけてみると、「文字・ことば」「一文読み」「まとまり読み」「縮約読み」「批評読み」に分類されます。
「文字・ことば」のステージでは、歌い聞かせや語りかけができるように、うたや身近な漢字ことばを集めた8A教材や、ひらがなの文字や文を読む練習を行う7A~5A教材があります。
自分で文字を読めるようになったら、ひらがなを書く練習が始まります。2A教材が終わる頃には、小学1年生相当の教科書がすらすら読めるようになることが教材の目標です。
このように2Aまでで十分な読みの力を高めることによって、A教材でカタカナや漢字の学習をよりスムーズに進めることができます。
公文式国語教材の大きな特長として、レベルが上がるごとに少しずつ文字数が多くなっていきます。単純に、長いことばを読むのではなく、文の構造が豊かになっていきます。
ここで、文の構造が豊かになることがイメージできるような例題を出してみたいと思います。
みなさん、今から、私が文章を言いますので、目をつぶってイメージしてください。
はなが さく
↓
ピンク色の はなが さく
↓
ピンク色の はなが たくさん さく
↓
かだんに、ピンク色の はなが たくさん さく
イメージできましたでしょうか?
文字数が多くなるというのは、イメージがより豊かになり、鮮やかになるということです。ところが、読むことが得意でない子どもたちは、文字数が多くなると、一文そのものに向き合うことから何となく離れていくようになります。
ですから、「A・B・C教材」では、一文ごとにしっかりイメージして読むために、主語や述語、修飾語といった学習課題があります。おもしろい物語は、そうした豊かな一文が重なり合って、1つのまとまりになっています。
続いて、「D・E・F教材」では、まとまりで読む練習をします。まとまった文章を読むときの目印になる接続語や指示語の習熟を高めることも、「D・E・F教材」の学習課題です。
KUMONの国語学習の看板とも言える「縮約」とは?
「G・H・I教材」では、KUMONの国語学習の看板とも言える「縮約(しゅくやく)」を学習します。
「縮約」という言葉を初めてお聞きになられた方もいらっしゃると思いますが、「要約」とは少し考え方が違います。
「要約」は文章中の大事なところを短くまとめることですが、
「縮約」は、どうにかして大事なところを全部抜き出したい、という考え方です。
作者の用語や表現の仕方、文体もなるべくそのままにして縮めます。
ただし、一文でまとめるという約束があります。
初めは本当に短い文を使って縮約を学びます。
作者の用語をそのまま使いながら一文に縮めるので、主語を1つ取捨選択しなければなりません。
長い文章をまとめるときに、どれを主語にするかの判断は、一人ひとり、みんな違います。
ですから、同じ文章を縮約しても、子どもたちから出てくる縮約文はみんな違います。
より長い文章を、より高い圧縮率で短くする。これができるようになるためには、何度も縮約文を書くしかありません。縮約の練習は教材で600枚分あり、文を読んで縮約し、縮約したらまた読んで、書き直す。この繰り返しによって、文章を読む力(読解力)が、どんどん高まっていくことを目指した国語教材になっています。
読書好きになってもらうための、KUMONの国語教材の秘密
KUMONでは、一人でも多くの子どもたちを、本好きにしたいという思いから、「すいせん図書一覧表」を制作しています。
本のリーダビリティに配慮して、やさしい本から難しい本が並んだ、子どもたちに人気がある本の一覧表です。どんな本を読ませようか、次の本はどれにしようか、と思った時に役に立つので、私自身も母親としてとても参考にしています。
「すいせん図書一覧表」は、表に載っている本を順番に読む必要があるのではなく、順番は目安にし、一覧表に載っている本をきっかけとして、同じ作者の本を読むなど活用法は様々です。子どもたちが、自分から、どんどん本の世界を広げ、自分自身の世界を広げていけたらいいな、と願っています。
ここからは、「すいせん図書一覧表」だけでなく、公文式国語教材が読書とどのようにつながっているのかについてお話しさせていただきます。
1つ目は「教材での、すいせん図書の紹介」です。
国語教材では、B~Gグレードの「すいせん図書」を表紙つきで、全て紹介しています。
B~Gの6教材で50冊ずつになるので300冊を紹介しています。
表紙が掲載してあるので、教材を図書館や書店に持って行き、本を借りたり購入したりする際に活用いただけているようです。
2つ目は「読書シート」です。
G・H・Iレベルのすいせん図書の一節をそのまま教材に持ってきて、子どもたちに読んでもらえるようにしています。
例えば、 「GI 3a」教材 では、すいせん図書にある夏目漱石の『坊ちゃん』を紹介しています。
実際に、本の一節を読むことで、本との距離感はぐっと縮まり、続きが気になるので読みたいと思ったり、次に出合った時に手にとってもらえることが多くなります。
3つ目は、くもんの国語のキーワードになります「10枚1作品」です。
「まとまり読み」や「縮約読み」といった学習は、いろいろな作品を読みながら習得していきます。学習課題は10枚で1つになっていますが、10枚で1冊は読み切れません。
そこで、できるだけお話しの続きが読みたくなるように教材を制作しています。たとえば、10枚目の終わりのところに、「続きを本で読みましょう」と短い誘導を入れています。
これをきっかけにして、続きが読みたいと教室の先生に聞いてくれる子どもたちもいて、大変嬉しく思っております。
ここまで、KUMONのすいせん図書と国語教材について、お話しさせていただきました。
国語教材を用いて「読解力」を高めると同時に、豊かな読書を行うことで読書と教材学習が一体になって、より高い読書能力を身につけられると考えています。
そして、その環境づくりと子どもたちの成長を長い目で見守ること、それが、私たち大人にできることではないかと思っています。公文式国語の学習を通じて、より多くの子どもたちが本好きになってくれるといいな、という願いをこめまして、本日のお話を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
浦上久美子さんのトークショーを終えて私たちはこんな言葉が印象に残りました!
ママサポーターたちが、浦上さんの講演で印象に残ったことについてディスカッション。最後には代表者が発表をしてくれました。
- イメージを膨らませることで国語が好きになる!
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講演の中で、「はながさく」の文章をイメージしてください、というお話がありましたが、実際に体験してとても言葉をイメージしやすかったんです。私は小さい頃、言葉をイメージするのが得意ではなく国語が苦手でした。今日教わったイメージの仕方を子どもに伝えたら、国語が好きになってくれるんじゃないかと思いました。
hanakoukimamaさん
- たくさんの本に触れて本をもっと好きになって欲しいな
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私たちのテーブルでディスカッションしていても、本を好きになる子もいれば好きにならない子もいる。うちの子どもは年中さんでKUMONのB教材を学習しているので読めるはずなんですが全然本を読んでくれません。でも、きっと読みたくなる時が来るはずなので、無理強いしないで読み聞かせもしながら進めたいと思います。
chisicontentagodeさん
- 社会に出ても役に立つ"高度な読書能力"を学ぶ場
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うちの子どもは年少さんで、KUMONの国語を学習しています。社会に出ても相手が何を言っているかすぐに理解する力は必要ですし、コミュニケーション能力にも役立つと思います。そういった能力にもKUMONの学習がつながっているのかなと思います。
mayumayu0313さん
※社員の所属名・役職は掲載時のものです。