世界の紛争地域を取材する戦場カメラマンであり、ひとりの父親でもある渡部陽一さん。
極限下を生き抜くために大切なことや、コロナ禍を過ごすママたち、そして、いろんなことを学んでいる子どもたちへ温かいメッセージを送ってくれました。
コロナ下での家族の不安について
- コロナウイルスへの感染に気をつけながら小さな子どもたちと生活することに不安を感じています。そんな時、どのようなことに心がければ良いでしょうか?
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1日のスケジュールを作ることが、ステイホームの時間を平常心で進められるポイントだと感じています。学校のようなスケジュールを日々の生活に取り入れることで、子どもたちが自発的にそのリズムに合わせることができる。そうすると子どもたちの成長がわかりやすいですし、無理せず子どもたちと向き合えるんじゃないかと思います。
- 一緒に過ごす時間が長くなった時、親としての声かけや、どういうやり取りをするのが良いと思いますか?
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子どもたちは、言葉を聞かなくても親の背中や振る舞いを見ながら、いろんなことに気づいていると思います。「挨拶をしようね」であったり、いろんな声かけはあると思いますが、"やりたいことの目標"だけ作ってあげて、あえていろいろ言わないというのもステイホーム期間だからこそできることかもしれません。そうすることで、子どもの変化や成長に気づきやすくなると感じています。
- おうち時間が増えると、家族でイライラしてしまうことがあります。そんな時の良い解決法はありますか?
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ズバリ家の中でのトレーニングです。走ったり筋トレをしたりストレッチをしたりヨガをしたり、家の中であっても好きな音楽を流しながらちょっとだけ体を動かしてみると、気持ちをリセットすることができると思います。僕自身もステイホーム期間中にストレッチを家族のルーティンにしていました。
- 渡部さんがお父さんとして、心がけていることを教えてください。
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ズバリ規則正しい生活です。早い時間に起きて決まった時間に朝昼晩ご飯を食べ、早い時間に眠る。1日のリズムがあまりブレないように意識しています。例えばちょっと外出をしたり何か日常の変化があったとしても、次の日にはまた元に戻す。規則正しい生活を意識すること、これが父親として家族に向き合う入口ですね。
渡部陽一さんが考える、極限下で生き抜く時に大切なこと
- 極限下での撮影などを経験されていると思いますが、そんな時、大切にしなければいけないことは何だと思いますか?
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戦場カメラマンとして最前線で気をつけていること、それは「引く勇気」を持つことです。
常に引きながら逃げながら戦場取材をするのが僕のやり方です。「引く勇気」を持つこと、これが僕の危機管理の入口です。 - 戦場では現地ガイドさんとのコミュニケーションも大切になりますね。
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はい。戦場をひとりで動いて写真を撮ることはしないんです。必ずガイドさん、セキュリティの方とチームを作って動きます。そして一番大切なのは必ずガイドさんの言葉に従うこと。現地の情報を素直に受け止めることの大事さは、コロナウイルスが感染拡大する今の社会にも通じるかもしれません。さまざまな情報がある中でも、例えば身の回りを清潔にすること、できる限り自粛すること、できる限りあまり遠いところへ出歩かないことという基礎的な情報を意識的に家族で守ることが、自分たちを守る危機管理の土台になると感じています。
- 海外でコミュニケーションをとるためには英語や外国語が大切だと思いますが、どのようにして学んだのですか?
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イラクはアラビア語圏、アフガニスタンはパシュトー語圏と英語を主体としている国にはあまり行かないのですが、地球上を巡っていると英語を話せる方がたくさんいます。イラクでもアフガニスタンでもガイドさんと英語の単語を正確にわかりやすくゆっくり組み立てていくことで、お互いの思いを理解しました。ネイティブスピーカーのように話すこともあれば分かりやすくブロックごとに話すこともある。とにかく正確にわかりやすくつなげていくことを心がけています。そしてどの国に行っても堂々と胸を張って自分の思いを向き合って伝えていく、この姿勢が大切であると感じています。
- 戦場を渡り歩く際、短い時間で現地の方と信頼関係を築くことが大切だと思いますが大切にしていることは?
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それぞれの国へのリスペクト、敬意を払い土足では踏み込まないことが大切です。そして長い時間をかけてその土地の生活を共にすることが大切な原動力になると思います。お邪魔させていただいた家族に、ガイドさんがどんな振る舞い方をして生活をしているのか、生活の中から感じることが取材の第一歩になります。
- 戦場カメラマンとして撮影し続ける原動力は何ですか?
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戦場の犠牲者はいつも子どもたちで、その声をたくさんの方に気づいてもらうこと。これが戦場カメラマンになった最大の入口であり僕の鉄の柱です。アフリカで泣いていた子どもたち、イラクで泣いていた子どもたち、アフガニスタン、コロンビア、インドネシアなどさまざまな地域で変わらなかったことは、戦争の犠牲者はいつも子どもたちだったということです。戦争がある限り子どもたちの声を記録して残していくことが、戦場カメラマンとしての原動力です。
- 渡部さんの活動を見て戦場カメラマンという職業を知った方もいると思います。戦場カメラマンになりたいと思った子どもには何と答えますか?
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自ら率先して戦場カメラマンという職業を勧めることはありません。ただ、国際報道というものは戦争だけではなく、たとえば資源の問題であったり、領土の問題であったり、民族の衝突であったり、グルメだったりファッションだったり、地球規模でそれぞれこのことを知りたいと思っている子どもたちはたくさんいると思います。その道を極めて進んで行きたいというのであれば、やはり外国に行ってみたり、その国の人に会ってその地域のものを食べてみたり、興味がある国のことを調べて接触していくことは大切な入口であると思います。
しかし、どんな状況であってもこれは危険だと思った時には一歩引く勇気を持ちながら自分が好きな道、自分が納得をした道を極めて進んでいって欲しいという思いは持っています。安全が第一、仕事は第二という優先順位をしっかりと自分の中に染み込ませておいて欲しいと思います。 - もし渡部さんのお子さんが戦場カメラマンになりたいと言ったら何と答えますか?
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僕からは息子に対して戦場カメラマンを勧めることは絶対にありません。でも息子が自分で納得をして決断をした道であるなら、それが戦場カメラマンであっても、先生であっても、さまざまな職種の会社員であっても父親として応援したいと思っています。ただ戦場カメラマンとして無謀に突っ込んで行ったり、無茶な取材の仕方というものはしっかりと歯止めをかけます。情報の共有であったり動き方というのは指導をするかもしれません。自分で納得をした道であるなら父として応援したいという思いはいつも持っています。
KUMONを学ぶ子どもたちへのメッセージ
- インターネットを通して何でも情報が得られる世の中ですが、これからの子どもたちに学んで欲しいと思うことは何ですか?
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世界情勢を見ていて感じたんですけど、揺れている動きには必ず反動がある。今すごいハイテクな時代になっているんですけど、意外とみんなアナログが好きです。ステイホーム期間にはZoomのような機能は大活躍なんですけど、実はシンプルでアナログなものづくりも大好きなことに気づいたと思います。テクノロジーをいかしたスピード感と、地に足の着いたアナログ感、これが新しい生活様式になってくると僕は感じますね。
- 渡部さんはKUMONの学習経験者ですが、KUMONを学んで良かったと思うことは何ですか?
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僕が小中高校とKUMONを続けてきて感じたことは、「継続の力」です。続けることによって解けなかった問題を理解するだけではなく、解くスピードが格段に上がっていく、目標をクリアするとまた次の目標が出てきてさらにクリアする喜び。自分が成長していることを継続することによって気づくことができる。振り返ってみると、僕は続ける力、継続の力というものをKUMONから学んできたと思います。
- やはり先生との出会いは大きかったのですか?
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幼い頃、近所の子どもたちはみんなKUMONの教室に通っていたんです。くもんの先生は、先生でありながら地域の子どもたちのお母さん的な存在でもありました。小学校が終わり中学生になった時は、学校の勉強のことを相談したり、部活の話をしたり地域のたくさんの先輩後輩の話をしてくれたり。お母さん同士でもつながっていて、そこで暮らしていく中での大きな輪のようなものがありました。考え方やつながりというものをくもんの先生がいつも見守ってくれていて、そんな安心感というものを子どもながらに感じていましたね。
- いま、KUMONを学ぶ子どもたち、これから学ぼうとしている子どもたちへメッセージをお願いします。
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みんながKUMONで学んでいる、この時間を続けていくと知らなかった自分に気づくことができると僕は思います。こんなことが自分は好きだった、こんなことができた、こんなことを発見して嬉しい気持ちになった、友達と一緒に笑顔になった。KUMONを続けたからこそ気づけることがこれからたくさんあると思います。可能性は無限大ですよ。
これからKUMONを学ぼうとしているみんなは、自分の好きなペースで、自分の好きな教科を、自分のスタイルで組み立てていくことでKUMONの魅力にすぐ気づくと思います。
KUMONは、肩の力を抜いて楽しむ学び場なので、リラックスして楽しい時間を過ごしましょう。ゆっくりで、大丈夫です。